「っ…ああ”っ!!」
「どうしたんですか?」
TVで4つの生首が発見されたニュースが流れてる。
もう随分と体が大きくなって、敬語という概念も理解し、言葉遣いも大人になったリュカが俺にどうしたのか問う。もう昔の様に瞬間移動も連発しなくなったリュカは普通に歩いて近づいて来た。
「あ…リュカ」
俺はそれを認識し、感情が溢れ出た。止まらない。止めれそうにない。
もうダメだ…もうダメなんだ。俺。
「ごめん…リュカ、これっ。俺……全て俺のせいなんだ。お前の兄が死んだのも、この世界が狂っていってるのも……このままレウドルーラが崩壊していきそうなのも……
__全て俺のせいなんだ……」
そう弱々しくTVを指差し、俺はリュカに全て明かすことにした。
__________
俺は、恐る恐る女神から貰った紙を広げ、この紙をリュカに見せた。
「これ、全ての原因が…俺がこの紙に公式を書いたからなんだ。」
「……時空転移???」
「…え? おい、リュカ。何見て……」
「なんでハルトさんが原種文字を…? あ。違う。これ、俺の文字だ……内容も俺っぽい……」
リュカが呆然と立ち尽くし口元だけ動かしながらぶつぶつと何かを答える。
「すみません!! ちょっとよく見せてください!!」
ハッと我に返ったリュカがそう言って紙を取ろうと近づいてくる。分裂してすぐだったのか、ズボンの裾を踏みリュカは転んだ。「痛っ…」と軽く唸り頭を抱える。
「おい、大丈夫かよ…あーあ。おでこから血が__」
俺はそこで固まった。ボソボソとなぞる様にリュカに触れ、確認していく__
「赤いフードに、琥珀色の瞳、そして左額の小さい傷……」
(ここは人口26万人規模の小さな惑星よ。この封筒をあなたに託します。何が入っているかわからないわ…。私の力の及ぶものでも無いの…。まだ歩ける。歩きたい!!なんて最高なんだろう!あっ!!ちょっと待て!!!コラ!!!ったく…なんなんだよあのガキ……俺、コイツの瞬間移動能力にすげぇ憧れてたんだよな…。クソダセェ名前だな……__大丈夫。あなたならきっとこの世界を救えるわ!)
フラッシュバックしたかの様に、色々思い出した。
時空転移……そっか。時空転移か。それにまだ終わってないじゃないか……確かに俺、この世界を救えるかもしれない。俺はなんだか色々嬉しくて感情を抑えきれなかった。
「リュカ…。お前が、あの時のクソガキだったなんて!!!」
「クソガキ…?? ハルトさん、今俺に向かってクソガキって言いました?」
「ああ! リュカ。そう、お前が赤いフードのクソガキだったんだよ!!!」
「ちょっ…待っ。そんな泣きながらクソガキクソガキ言うのやめてください!どうしたんですか!!!」
「ごめん…その、俺。嬉しくて……えっと、ちょっと待ってな。今整理して順番に話すから……ていうかなんでそんな顔なんだよ。。。お前っ、頭もいだのかよ…」
「ふふっ、首から裂いた俺は案外有能なんですよ。これで1週間は何食うか考えなくて済みます」
お前…本当にくだらないことに力使うよな。。。俺は心底呆れ、そして笑った。
__________
「えっと??? 俺が昔のハルトさんに会ってたってことですか?」
「そう、お前が昔の俺に会いに来て、紙奪って1行目を書いたんだよ……」
「まぁ、確かに。1行目俺が書いた内容っぽいですけど……」
「なぁ、なんて書いてあるんだよ」
リュカは指差しながら答える。
「A(スカイジャンパーのミニミニフィギュア)、C(時空転移)…です。」
「おいB欄なんで飛ばすんだよ!」
「仕方ないじゃないですか!!! たとえハルトさんでも恥ずかしくて教えられません!!!もうっ。別に良いじゃないですか!!!」
「はいはい。どうせ俺が、未来のリュカにでもわかる様に書けって言った内容だろうから別に良いですよ…っと」
俺は拗ねる。リュカは戸惑う…え?そんな指示でこんな内容を…って聞こえそうな程、戸惑いを隠せていない表情をしていた。くそっ、なんて内容なんだよ…気になるなぁ。
「それで……Aの消耗素材であるジャンパーのフィギュアをこの世界から無くせば、これ以上この紙の公式で人がおかしくなることも、死ぬこともないってことですよね?」
「ああ」
「そのフィギュアを無くすことと、俺がこの1行目の公式の時空転移で過去に行ってハルトさんに会ってくるのって何の関係があるんですか?」
「ここ…最後の行、空白で残ってるだろ?」
「え? あ、はい。」
「これ…俺、全部なかったことにする公式を書こうと思うんだ……俺がこの世界に来た時の人口は26万人。スカイジャンパー1個につき能力を行使できる対象は1人だから……コンピューター!」
「現在、この世界にあるスカイジャンパーのミニミニフィギュアの数は67,862個です。」
「……だ、そうだ。えっ……6万7千個???て事はざっと見て必要なのは20万個か…。これ…どこかで…」
「…ハルトさん?」
「ははっ。あははっ。そうか思い出した、これ。20ロット分じゃないか……!!!まさか20ロット消失事件の犯人もお前だったとはなぁ!!リュカ!」
「え?何!?いきなり何の犯人に俺はされてるんですか!? 待って!待って!!わかんない!!!怖い。ストップ!止まれ!ハルトさん!!!」
「はははははっごめんごめん。説明に戻るよ。……えっと、いいか?リュカ。お前がしなければならないことは主に3つあるんだ。
1つ目は、過去に行き俺から紙を強奪し1行目をA (スカイジャンパーのミニミニフィギュア)× B(”リュカの好きに書け”)= C(時空転移)で埋めること。
2つ目は、A素材をスカイジャンパーのミニミニフィギュアで固定するために、過去の俺を昔リュカとよく行ったあのおもちゃ屋さんへ案内すること。テンイのフィギュア貰ってたおっちゃんのところな。
そして最後3つ目は、今、もうここには全員救える分のスカイジャンパーのフィギュアがないからその分過去から調達してくる…工場から20ロット盗んでくるってことだ。それで今の崩壊も止められるし全て救える。」
「ま…待ってください。全て無かったことにするって……26万人って…ハルトさんがこの世界に来た時の人口の状態に戻すって事ですか…?」
「ああ」
「そんな……おにいちゃ…いえ、兄が戻ってくるって事ですか…?」
「ああ。うまく行けば…だけどな。」
「ッ…!! リュカ、またお兄ちゃんに会えるって事……???」
「おいっw ちょっ。ちょっと待て。お前っ……今のはずるい。その首もげた分小さい姿でその口調は不意打ちがすぎる!!! タンマ!!!」
「ふふっ。でも俺、まだ兄と話したいこととか行きたいところとか遊びたいこととか食べさせたいものとか見せたいものとか……本当に。本当に俺、色々あったし……できちゃったんです。また会えるなんて…夢みたいで……俺今どうすれば良いのかわかりません。嬉しい…。そう、嬉しいんですよハルトさん」
「そうか……でもそれはちゃんとお兄ちゃんに会えてからにしてくれ。絶対兄を救おうな!」
「はい!!!」
__________
「準備はできたか?」
「はい!」
「じゃぁ最終確認といこうか、リュカ」
「はい!俺は、リリル12の12ー27まで過去へ戻り、9時30分頃菓子屋の近くでハルトさんを探す。そしてハルトさんから紙を奪い1行目を時空転移で埋め、Aの消費素材をスカイジャンパーのミニミニフィギュアで全て埋めてくれる様に誘導する。過去ハルトさんの瞬間移動を確認した後、俺も瞬間移動し工場から20ロット盗んでくる」
「あってる。俺は、リュカが帰ってくるまでに見つけたあと2つの組織を潰し、残り1200個ちょっとのフィギュアを回収し終える」
「……あの。本当に、過去に行くの俺で良いんですか?」
「”俺で良いんですか?”じゃないぞ。リュカ、お前じゃなきゃダメなんだ。適材適所の観点で言っても、こっちで残ってる仕事は野蛮なものだし、それに俺…もうこんな姿だから過去でも人前に出たら色々問題になるだろうしさ」
「ハルトさん…」
「そうじゃなくても、俺…お前が良いんだ。お前があのクソガキだって知って俺は救われたから。だから、過去の俺もお前に救って欲しいんだ……あーあ。本当、こんなガキに縋るなんて俺ってどうかしてるわ」
「割いた後だから見た目こんなガキですけど、俺は十分大人ですし、俺は桃の木と違ってへし折った後も元気なんで…イヴ前とか翌年とか細かい事言わずに喜んで願い叶えに行きますから。だから…安心して救われてください。俺も、同じ空間を味わえて楽しかったので」
「……ふっ。可愛くないやつめ。じゃ、ちょっと先の未来でまた会おうぜ!」
「はい、ハルトさん!行って来ます!!」
リュカを完全に見送ってから、俺も動き出した。
よっし!! 26万人全員絶対に救おうな。リュカ!!!
